悪性リンパ腫と診断された父
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仕事中に鳴り響く携帯電話。「だれだろう?」そう思って、着信番号をのぞくと実家の電話番号が。平日の真昼間に実家から携帯に電話があるときはたいてい不幸ごとです。
親戚の誰だろう?
病気で入院中の親戚がいたっけな?
失礼にもお迎えにきそうな親戚を頭の中でグルグル思い浮かべながら電話にでるといつもと明らかに違う、うわずった父親の声が聴こえてきました。
ただ事ではなさそうです。
「もしもし、おれやけどな。えらいことになったんや。おれ癌になってしもうた。」
やはりイヤな予想は的中。
病院で医師から「悪性リンパ腫です。」と告げられた父親はまだ気持ちの整理のつかぬまま私に電話をかけてきたのでした。
悪性リンパ腫とはすなわち血液のがんです。
おそらく今は治癒率が上がっているのでしょうが私にとって癌という病名は不治の病の代名詞のようでした。
小さい頃からすこしかわいそうなテレビ番組といえば家族の誰かが癌におかされるストーリー。
テレビ番組ではたいてい手遅れであり、余命は長くて半年。
患者本人に病名は告げられず、家族が医師に呼び出されて病名を告げられる・・
本人の精神的なショックを考えて、なんとか病名を隠そうとする家族。
ちょっぴりよそよそしい家族に少しの違和感を覚えながらも胃がんを胃潰瘍と信じている本人。
やがて、病状は悪化し、本人はいまだ経験したことのない激痛に襲われるように。
ここでうすうす自分は癌ではないかと気付きはじめ・・・
こんなパターンのドラマを何度となく見せられてきたのが私たちの世代。
癌という言葉を聞いただけでドラマのいろんな場面が頭をよぎります。
余命は??
もう助からない??
私ですらそうですから
戦前生まれの父にとって癌を宣告されるのは死刑を告げられるにひとしいショックがあったのかもしれません。
いや何も悪いことしていない分、もっとショックは大きかったでしょう。
それにしても患者本人から家族へ自分が癌と診断されたことを告げるシーンは今までのドラマではありえなかったシーンです。
もしかするとすでに癌という病気の治療法は相当、進歩しているのかもしれない・・・。
不治の病ではなくなったのでは?
そんな希望を勝手に抱くことで、のこりの仕事をこなすだけの平常心を保とうとしたのでした。